2022年秋に竣工した、フランス・パリ1区にある茶室「六覚庵」の天井です。
This is the ceiling of the Rokakuan tearoom in the 1st arrondissement of Paris, France, which was completed in autumn 2022.
茶室の天井
六覚庵の天井は、二種類の天井で構成されています。
一つが亭主(ホスト)が座る手前座の上の天井です。
こちらの天井は、蒲天井といいます。蒲を細い女竹で押えています。
もう一つは、お客様が座る貴人畳、客畳の上の天井です。
こちらは、杉柾矢羽根網代(すぎまさやばねあじろ)天井です。
天井を二種類に分けているのには意味があります。
亭主と客の関係です。

茶室の天井 杉柾矢羽根網代と蒲天井
茶室の天井の高さの違い
写真ではわかりにくいかもしれませんが、天井の高さも違います。
亭主側は低く、お客様側は高くなっています。
これは客人をおもてなす心を表しています。
素材に関しても同じ考えで、客人の方より亭主の方がチープに見えるようにしています。
客人の天井は、杉柾矢羽根網代天井で、亭主は、蒲天井を用いています。
段違いの天井には、壁留という角に用いる木が必要になります。
壁留には、竹や栗の名栗、そして辛夷(こぶし)という木を使うことがあります。
草庵では、自然との共存共栄を意識できるように、自然のままの木を好んで使うことがあります。
パリのお茶室では、辛夷(こぶし)を使いました。
天井高の違いと素材でおもてなし
お茶室で大切していることは、天井の高です。
普通の家の天井高が2400mmから2500mmが一般的ですが、
お茶室の場合は、1800mmから1900mmが適当だと思っています。
斜めになっている駆け込み天井などはもう少し天井高があります。
畳に段差を付けるのではなく、天井の高さの違いを使って、おもてなしの心を表現しています。
正座してどう感じるのか?がとても大切なので、茶室の天井高は、一般住宅よりも低くなっています。
茶室の天井高や材質に注目すると、空間の意味を読み解くことができるかもしれませんね。